コロナ禍の経営環境へのインパクトはさまざまあるが、その中の一つに、マーケットが「近場」になることが挙げられる。感染拡大防止のため移動に制限がかかり、それが習慣化してエリア・商圏が小さくなる現象である。
BtoCでは、小売業やサービス業は市町村や都道府県内での消費。比較的に広範囲であった観光業などでも道州内で消費する。BtoBであっても、グローバルサプライチェーンではなく国内や道州内で供給が完結するように企業は動き始めている。
また、顧客の購買先の選択肢も狭くなり、新しい購買先を積極的に求めなくなっている。いわば、心理的な「近場」に移行しているのだ。
すなわち、事業単位ごとの商圏・マーケットがサイズダウンすることが確実視される。一方で、構造的な課題である国内の人口減少・企業数減少は変わらないため、顧客数が減っていくステージで私たちは戦っていかねばならない。
「近場マーケット×顧客数減(人口・企業数減)」がもたらす市場環境は何か。それは、競争激化で企業間格差が開き、「寡占化が進む」である。ただ、以前のように価格競争で消耗戦を展開するといった愚かな競争を繰り返すとも思えない。アンダーコロナで勝ち残るポイントは「ブランド力」になるであろう。
企業も個人も先行きに不安を持ち、財布のひもが固くなっている。こういうときには、「購買経験があり、満足した実績のあるブランド」「安心して購買できるブランド」を選ぶ傾向が強くなる。
さらに、選ばれるブランドになるためには、顧客をよく知ることが第1ステップである。「私(=顧客)のことをよく知ってくれている企業(人)に相談し、提案を受ける」ことが顧客の安心感につながり、購買率が高くなるからだ。
そこで、いま大事な経営目標は、「リピート率100%」を目指すことだと提言したい。この一見して不可能と思える目標を掲げることで、組織行動をどこまでブラッシュアップできるかだ。顧客の熟知とインサイト、顧客最適の提案、ソリューションレベルの向上、購買のビフォー・アフターのケアなど、一つ一つに磨きをかけていく。
リピート率100%へ向け、思考していこう。