その他 2017.08.31

特集1:現場力

2017年9月号

 

 

多様な人材を生かす企業は合理化・標準化に積極的

 

 

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※ 女性、シニア、外国人、障がい者の人材の4区分について、1つでも「中核人材として活用している」と回答した企業を「活用中」、1つでも「中核人材としての活用を検討している」とした企業を「検討中」、その他の企業を「未検討」としている 出典 : 中小企業庁「2017 年度版 中小企業白書」(2017 年4 月21 日公表)より作成

 

 

多様な人材を活用する企業ほど、業務の合理化や標準化へ積極的に取り組み、収益力向上にもつながっている――。2017年度版「中小企業白書」(中小企業庁)で、そんな傾向が明らかになった。

 

【図表1】は、多様な人材の活用状況別に見た、柔軟な働き方を実現するための業務プロセスの見える化などに関する取り組みを表す。これによると、特に製造業では多様な人材を活用・検討する企業ほど、「5Sの徹底」「業務プロセスの見える化」などの取り組みが進んでいることが分かる。

 

また、【図表2】は見える化などの実施状況別に見た、多様な人材の活用により得られた効果および得られると考える効果を示している。ここから、多様な人材を活用する企業でも、「業務プロセスの見える化」などへの取り組み度合いによって人材活用の効果に差が生じていることがうかがえる。

 

例えば、多様な人材を活用し「業務プロセスの見える化」などを実施している企業では、「社内全体の活性化」「従業員の能力向上」「優秀な人材の確保」「業務の効率化」など、さまざまな効果を感じている。一方、見える化未実施企業では、多様な人材の活用効果として「特になし」を挙げる割合が最も多く、次いで「優秀な人材の確保」となっており、人材確保以外の副次的効果を挙げる割合は極めて少ない。

 

こうした「業務プロセスの見える化」などの取り組みは、業務の標準化による効率化や生産性向上、企業の業績向上にもつながる。実際、同白書では「業務プロセスの見える化」などの取り組みによる業績の差が、製造業・非製造業ともに顕著であることを示している。

 

人手不足の中小企業にとって、多様な人材の活用は欠かせない。そのためには、柔軟な働き方ができる職場環境を整備することが必須である。その際、従業員が互いの業務を理解し、分担し合うために、社内の業務プロセスの見える化に取り組み、標準化を進めることで生産性や業績の向上につながる。多様な人材活用を契機とする社内体制整備を、積極的に行うのが得策といえよう。

 

 

※ 見える化等実施企業とは、「業務プロセスの見える化」を実施し、かつ「5Sの徹底」「各人の業務内容・役割分担の明確化」「業務内容の見直し・削減」「社内共通の業務ツールの導入」「部門・エリア間での重複業務の集約」について1つ以上実施している企業。未実施企業とはこれらを一切行っていない企業。準見える化実施企業とはその他の企業 出典 : 中小企業庁「2017年度版 中小企業白書」(2017年4月21日公表)より作成

※ 見える化等実施企業とは、「業務プロセスの見える化」を実施し、かつ「5Sの徹底」「各人の業務内容・役割分担の明確化」「業務内容の見直し・削減」「社内共通の業務ツールの導入」「部門・エリア間での重複業務の集約」について1つ以上実施している企業。未実施企業とはこれらを一切行っていない企業。準見える化実施企業とはその他の企業
出典 : 中小企業庁「2017年度版 中小企業白書」(2017年4月21日公表)より作成