特集1:地方創生ブランディング
世界ブランド価値ランキング(WPP、2016年版)、グーグルが首位奪還
市場調査会社のカンター・ジャパンはこのほど、2016年の「世界ブランド価値ランキング」を公表した。これは消費者調査から測定した企業のブランド資産と業績分析を組み合わせ、その価値を金額換算して順位付けしたもの。同社の親会社である世界最大の広告代理店WPPが毎年発表(傘下のミルウォード・ブラウン社が算出)しており、今回で11回目となる。
それによると、最もブランド価値が高いとされたのは「Google(グーグル)」で、前年トップの「Apple(アップル)」から首位を奪還した。グーグルのブランド価値は前年比32%増の2292億ドル(約23.6兆円、1ドル=103円換算)であったのに対し、アップルは同8%減の2285億ドル(約23.5兆円)に縮小した。
3位は前年と変わらず「Microsoft(マイクロソフト)」が入った。マイクロソフトのブランド価値は5%増の1218億ドル(約12.5兆円)だった。そのほか「Facebook(フェイスブック)」が44%増の1026億ドル(約10.6兆円)と5位、「Amazon(アマゾン)」が59%増の990億ドル(約10.2兆円)と7位になり、いずれも初めてトップ10入りした(【図表1】)。トップ100のブランド価値総額は3%増の3兆3603億ドル(約346兆円)に達した。
なお、100位以内に入った日本企業は、トヨタ自動車、NTT、本田技研工業、日産自動車、ソフトバンクの5社。調査が開始された2006年以降ランク入りを続けている54社のうち、日本企業は3社(トヨタ、ホンダ、日産)。いずれも自動車メーカーだった。
キャラクタービジネス市場、2016年度も堅調推移を予測
ブランドビジネスにおいて大きな比重を占めるまでになった「キャラクターマーケット」。『くまモン』や『ひこにゃん』などの“ゆるキャラ”ばかり注目されるが、昨今はクールジャパンのキラーコンテンツである「アニメ」と共に、新たな輸出産業として期待が高まっている。
キャラクタービジネスは「商品化権(※1)」と「版権(※2)」で構成される。2次利用の周辺産業、かつ子どもや一部の熱心なファン層をターゲットにしたニッチ分野と見られがちだが、市場規模は意外に大きい。矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2015年度の市場規模は前年度比0.6%増の2兆4282億円。前年度に大ヒットした『妖怪ウォッチ』などの反動減があったものの、底堅く推移した。(【図表2】)
※1 商品に付帯してキャラクターを使用する権利
※2 出版権、広告宣伝やイメージキャラクターとしての使用権など
内訳を見ると、商品化権市場(小売金額ベース)は0.4%減の1兆2282億円と微減だが、版権市場(契約金額ベース)は1.7%増の1兆2000億円と4年連続で拡大した。
商品化権市場の減少要因は、大きなシェア(48%)を占める玩具が苦戦したためだが、衣料品や服飾雑貨の分野ではプラス成長となっている。アニメの登場人物をファッションモデルに見立てた商品開発や、作中に実店舗の衣料品を登場させるなどの取り組みが奏功したという。
版権市場は近年の広告宣伝費の増加を追い風に、定番キャラクターを新たな見せ方で訴求するなどリブランディング(ブランドの再構築)を強化したり、セールスプロモーションでのキャラクター活用を積極的に推進したことでプラス成長となった。
同社は16年度の市場規模について、アニメ作品の多様な分野への広がりが進み、定番キャラクターの新しいプロモーション活用も活発化していることから、前年度比0.7%増の2兆4456億円と堅調に推移すると予測。うち商品化権市場は0.2%増の1兆2306億円、版権市場は1.3%増の1兆2150億円と、ともに拡大基調を見込んでいる。