【第6回の趣旨】
東亜道路工業株式会社は、1930年創業の道路舗装建設会社である。材料の開発・製造・建設までを一貫して行っている、大手道路会社で唯一の独立系道路会社で、子会社24社、関連会社2社と共に地域に根差した全国ネットワークと長年培ってきた舗装技術を生かして日本の社会インフラを支えている。また、つくば市に技術研究所があり、脱炭素社会の実現にむけた製品や工法の技術革新に積極的に取り組んでいる。
同社は、「自らの意思と成長をもって、人々の生活を足元から支える。」を経営理念に掲げ、創立より一貫して独立独歩の道を歩み、優れた個の力を結集し変革を恐れない自由な風土の元、時代の要請に対応すべく進化を続けている。
今回の講演・視察では、社会課題に向き合いながら、交通インフラ・スポーツ・エネルギー・地域づくりの分野での発想と実行力を武器に、持続可能で豊かな未来を創るための挑戦について学ぶ。
なお、今回の講演・視察の会場である「高円宮記念JFA夢フィールド」は、同社が携わったスポーツ整備事業の代表的な一例であり、同社が公益財団法人日本サッカー協会(JFA)とソーシャルバリューパートナーとして連携し、スポーツを通じた社会貢献に取り組む姿勢を感じられる場所となっている。
開催日時:2025年7月8日(東京開催)
講義風景
視察風景
建設技術を生かしたスポーツ事業
地域のスポーツ施設整備(サッカー場、野球場、テニスコート、陸上競技場、競輪場など)に力を入れ、誰もが安心してスポーツを楽しめる環境を提供することを目指している。トップアスリートが使用する施設も多いため、同社の高い技術力や経験を生かして、性能(競技性、排水回復性、平坦性、メンテナンス性)や状況に合わせた資材選択、囲障や観覧施設などで力を発揮している。
単にスポーツ施設をつくるだけでなく、地域や利用者と一緒に活用方法を考え、街づくりにも貢献できるよう、提案・設計・施工までを一貫して行っている。
さらに、地域のスポーツ団体とのパートナシップ締結やスポンサー、各種スポーツ大会やイベントの協賛をすることで、スポーツを「やる人」「支える人」「楽しむ人」すべてをトータルで支援している。
官民連携事業への積極的な関わり
行政と民間が協力して公共サービスを提供する仕組みである、官民連携事業(PPP:Public Private Partnership、PFI:Private Finance Initiative)に積極的に取り組んでいる。行政サービスの質向上や効率化を目的に、公共施設の建設・運営に同社の技術・ノウハウを活用している。
具体的には、都市公園や運動施設のリニューアル、学校跡地の利活用、道の駅、空港コンセッションなどの分野で、従来の行政主導型とは異なる柔軟で効果的なサービス提供に貢献している。
この官民連携事業の場合は計画から携わることができるため、自治体と協力しながら収益を上げられる公共施設にすることで、維持管理の負担を軽減でき、かつ公共施設の価値を向上させることで地域の資産価値向上にも寄与している。
持続可能な社会への取り組み
フランスで開発された太陽光発電舗装システム(Wattway)を活用し、パネル・蓄電地を含んだ電気キャビネット・電気機器への接続をパッケージ化した商品を提供している。道路舗装で培った技術力を生かし、大型車が通行しても壊れない強度の薄型パネルを道路路面に接着材で設置できるため、車両や歩行者の通行を妨ずに、再生可能エネルギーが創出できる。
この商品は、電源インフラに接続することなく、その場で発電した電力を活用することが可能なため、再生可能エネルギーの地産地消や災害復旧機能強化に貢献し、持続可能な街づくりに寄与している。現在は道路交通法の改正前のため公道への設定はできないが、小学校の敷地内や駐車場への設置事例は増えてきており、万博会場の駐車場にも設置されている。
今後、社会実験での公道への設置も予定されており、法整備が進むと全国の公道への設置が進む可能性もある。将来的には、オールメイドインジャパンで電気自動車が信号待ちでワイヤレス充電を活用して充電する、などの構想も持っている。
また、最近アメリカを中心に大流行しているピックルボールの普及にも力を入れており、全国での国際大会を実施できるような施設づくりやイベントの開催なども行っている。

執行役員 企画開発部長