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研究リポート
ナンバーワンブランド研究会
コロナ後の新しい時代に合わせた最新のブランディングを研究し、参加者の皆様が自社で実装するために、コンサルタントがアドバイス・サポートいたします。
研究リポート 2025.01.14

ブランディングの実践と新社屋の活用 ヤマニパッケージ

【第2回の趣旨】
タナベコンサルティングの第2回ナンバーワンブランド研究会では、独自のブランディングの先進事例を学ぶため、株式会社ヤマニパッケージと、光洋陶器株式会社にご講演いただいた。両社とも自社のインナーブランディング・アウターブランディングに取り組み、ブランディングを通して自社が提供する価値を高めている企業である。新社屋や工場の視察を通して、両社が確立しているブランディングを肌で感じ、ブランディングに込めた思いや今後の展望について学んだ。

開催日時:2024年12月3日(岐阜開催)

 

 

はじめに

 

2024年で創業72年を迎えたヤマニパッケージは、包装資材全般を取り扱う製造機能を持たないファブレス企業であり「100年続く100億企業」を目指している。ただ包装資材を販売するのではなく「包装資材のコンサルティング&ブランディングサポート企業」として、顧客のブランドイメージを変革させるコンサルティング事業を行っている。

 

今回ご講演いただいた代表取締役専務の矢田 高士氏は創業者の「楽して儲けろ」という言葉と、ディズニーの世界観を大切に自社のリブランディングプロジェクトとブランディングサポートという新たな領域へと事業を拡大している。

 

2023年に完成した新社屋「YAMANI PARK」には経営陣の思いが詰まっており、社員は誇りをもって、いきいきと働く。

 


ブランドコンセプト、ロゴ、キャラクターなどのルールをまとめたブランドガイド


ヤマニパッケージ公式キャラクター「やまにん」

 


 

リブランディングへの取り組み

 

リブランディングに取り組む前は会社としての方向性が不明確であり、売り上げを伸ばす戦略や人材の確保について課題を抱いていた。2019年の世代交代のタイミングで、各部署から1名づつ代表者を決定し、リ・ブランディングプロジェクトを開始。ブランドミーティングでは、ディスカッションではなく「ワクワクすることは何か」という会話ベースのミーティングでブランドコンセプトの『さあ、あけよう「未来のワクワク」を』のうち、ワクワクというキーワードを想起するようなインナーブランディングを対話で図っていった。アウターブランディングでは社内ロゴのガイドライン策定やオリジナルキャラクターの活用、YouTubeやInstagramのアカウント活用により一般消費者向けの売り上げの拡大やブランディングの先進事例として認知度の拡大を実現している。

 


本社1階に併設されているミュージアムは手に取って素材感やデザインを感じることができる

 

 

新社屋『YAMANI PARK』のブランド体験価値とワクワクの醸成

 

2023年に完成した新社屋のコンセプトは「ヤマニの森」である。細部にまで思いとこだわりが詰まった社屋は、「森」の機能に着目して設計され、森が持つ環境効果・回遊性・立体感・拡張性を建物の中に取り入れている。

 

ガラス張りのミュージアムが見える外観からは、一見、何の会社か検討がつかず、まさにブランドのコンセプトである『さあ、あけよう「未来のワクワク」を』を具現化した社屋と言える。新社屋はヤマニパッケージのブランド力UPに大きく貢献し、働く社員、訪問者、全ての人が「ワクワク」する空間となっている。現在はヤマニビレッジを計画中であり、社員の託児所やカフェ、マルシェなど、次のステップであるBtoCの実践の場として挑戦を掲げている。

 

 

 

日本一ウィルビーイングな会社を目指す

 

中長期ビジョンとして同社は「日本一ウィルビーイングな会社」を目指している。ECサイトを作ることにより、物売り営業社員の人数を絞り、ブランドディレクターとしてお客さまのブランドイメージ戦略に関わる人材に営業のスタイルを変化させている。

 

パッケージ1つでその商品が顧客に与えるイメージは大きく変化する。ヤマニパッケージは単にパッケージを制作して販売するだけでなく、お客さまがパッケージにどのような自社イメージを持たせ、自社のブランドを確立したいかを実現する会社である。一方的な発信ではなく、顧客から「知りたい」と思われるような「ウェルビーイングな環境」の実現を目指している。


新社屋。実用性とデザイン性を兼ね備えた設計で社員の働きやすさの向上につながっている

PROFILE
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矢田 高士 氏
株式会社ヤマニパケージ 代表取締役専務