【第3回の趣旨】
ライフスタイルビジネス研究会の今期のテーマは「-ライフスタイルカンパニー100社の創造-10年後のビジネスモデルをデザインしよう」である。第3回は「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」 とともに「ライフスタイルビジネスの未来像」を研究するため、3社のゲストにご講演いただいた。人口動態・社会構造の変化をはじめ、産業構造の改革や社会課題・顧客課題の変容というライフスタイルビジネスに大きな影響を及ぼすポイントに対し、3社のゲスト研究を通じて、取り組むべき3点のテーマを掘り下げた。
開催日時:2024年1月25日(東京開催)
ゼネラルマネジャー 田村 友一 氏
はじめに
大分県に本社を構え、住宅、不動産の総合企業であるベツダイ。「LIFE LABEL」「Dolive」は、同社から派生し、ユニークなマーケティング戦略を武器に全国ネットワーク化を推し進めているブランドだ。
LIFE LABEL・Doliveは、エンドユーザーの視点を大切にした住宅商品開発やウェブメディアを活用した情報発信を軸に、暮らしに「楽しさ」を求める層へ向けて積極的にアプローチ。運営するインスタグラムのフォロワーはそれぞれ10万人を超えている。
ZERO CUBE
まなびのポイント 1:パーパスを軸としながら多様なブランドを展開
ライフスタイル発想で暮らしを考えることを提唱するLIFE LABELや、「家づくりを自由な発想で楽しもう」をコンセプトとするDolive、「泊まるように暮らす」をコンセプトとした「yado」など、同社は顧客のライフスタイルやニーズに合わせて複数のブランドを展開。また、それぞれのブランドでウェブメディアを通じて情報を発信している。
情報発信の際に重要視しているのは、自社を特徴づけるパーパスや価値観を明確にすることである。どのブランドも自社のパーパスにつながるように設計されているため、相互に作用し合って企業ブランドをより強固なものにしていくことができる。
ブランドごとにホームページを運営し積極的に情報を発信
まなびのポイント 2:スモールマスに合わせたマーケティング戦略
人々の趣味嗜好が多様化する中、それぞれのニーズに合致できるように商品を提案することがますます重要になってきている。同社は特定の趣味を持つ人々を「スモールマス」という小集団としてとらえ、その小集団に合わせてブランドラインを構築していくことで、多様化するニーズに対応している。また、スモールマスに向けた販売戦略を立案することで、自社ブランドのファンを得て、ファンとなった人たちは同じ嗜好を持つ仲間に自社商品を紹介してくれ、更なる販売につながる。
ブランドを立ち上げる際には、外部環境、顧客、自社のそれぞれを見る。他業界まで視野を広げ、オリジナリティーのあるアイデアを考え、自社の特性へとつなげている。
それぞれのスモールマスとブランドの接点になるメディアコンテンツ
まなびのポイント 3:外部リソースを活用した個性の確立とマーケティング
同社では自社で全てを行うのではなく、うまく外部リソースを活用する。異業種とのコラボレーションを行えば、既存の業界にはないアイデアや個性を取り入れることができる。重要なのは、業界の外から自社を俯瞰して見ることだ。そうすれば、シナジーを生むコラボレーションの相手を見付けることや、世の中の動きに合わせたマーケティングを行うことができるようになる。
訴求したい顧客層が明確になると、プロモーションを効果的に行うことができる。また、コラボレーションをした相手方としては自身が提唱する暮らしを形にすることにつながり、顧客にとっては自身のこだわりや理想を形にできるという価値提供につながる。
アパレルセレクトショップのBEAMSとLIFE LABELのコラボレーション