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研究リポート
ホールディングス・グループ経営モデル研究会
6つのホールディング経営タイプをベースに、新たなグループ企業を研究します。自社がどのようなホールディングスモデルとして進化するのか、共に考えましょう。
研究リポート 2024.04.30

シンク・アイホールディングスのホールディングス経営~挑戦~ シンク・アイホールディングス

【第4回の趣旨】
ホールディングス・グループ経営モデル研究会では、講義やディスカッションを通じて、ホールディングス・グループ経営における狙いや経験について、自社の経営に反映するヒントを提供している。
第4回はホールディングス・グループ経営システム構築支援において、実績を数多く持つタナベコンサルティングのコンサルタントによる講義や、成功モデルを構築した企業によるホールディングス設立の狙い、グループ理念・フィロソフィー、ホールディングス特有の課題解決と未来の戦略についてご講演いただいた。

開催日時:2024年3月27日(東京開催)

 

シンクアイホールディングス 代表取締役社長/CEO 京谷 忠幸 氏

 

シンク・アイホールディングス
代表取締役社長/CEO 京谷 忠幸 氏

 

 

はじめに

「誰かが事業承継しなければ,廃業が増えてしまう」。そんな思いを背負って京谷氏は株式会社シンク・アイホールディングスを設立した。世の中の変化や「大廃業時代」をはじめとした、いわゆる「VUCA時代」において、ホールディングス経営体制にてどのように対応し、いかにホールディングスを機能させていくか。また、ホールディングス体制が生むセクショナリズムをどのように打開するかが課題である。

 

重要なのは、最新の経営システムやノウハウ・メソッドではなく、理念・フィロソフィーによる求心力だ。したがって、ホールディングス設立の主要目的は、財産の承継や人・技術・事業の承継に加え「志の承継」に最も重きを置く。京谷氏の歩んできた人生から形成された人生観を基に、ホールディングス経営について語っていただいた。

 

講義後の質疑応答・ディスカッションの様子
講義後の質疑応答・ディスカッションの様子

 


 

ホールディング経営移行による成長加速が課題

本社機能を有するホールディングスが求心力を高め、各事業会社が成長エンジンとしてプロフィットセンターの役割で遠心力を高めていき、グループ経営に対峙してきた同社。しかし一方で、創業者である京谷氏から次世代へバトンを渡そうとすると、各事業会社の遠心力が強すぎて制御しきれなくなっていると感じていた。各社のセクショナリズムの高まりや、主要事業を担う会社に対するグループ全体からの見る目(立ち位置)は変えられなかった。

 

そこで、各事業会社の運営を攻守両面で支え、かつグループ企業を束ねる経営理念、経営ビジョンを再構築することでホールディングス経営としての全社意識を高めていった。

 

経営マネジメント(アメーバー経営、PMI)

京谷氏が企業の倒産理由に着目したところ、倒産要因として経営者の質が問われている面が大きいと気付いた。技術や事業性などを競争優位として重視する経営者が多い中、改めて「マネジメント」の重要性に一石を投じたのである。

 

経営者として必須となるスキルを、①経営マネジメント体系 ②セールス&マーケティング ③技術 ④会計・財務 ⑤社員教育と京谷氏は提唱した。「K(経験)K(勘)D(度胸)体得経営」を「論理」と「仕組み」に変換し、体系化することで社内での善循環形成につなげた。講義では、基礎マネジメントから「オープンイノベーション」「アメーバ経営」に至るまで、幅広い内容をお話しいただいた。

 

配信での参加者からの質問の様子
配信での参加者からの質問の様子

 

人生観とフィロソフィー

グループ経営者を持続的に輩出する仕組み・文化の形成について、実体験を交えながらフィロソフィーの重要性を京谷氏は説く。また「承継」と「永続」について、重要なものとして「会社」「ファミリー」「志」を挙げる。「先人から承継してきたものや経験してきたことを、次の世代へとバトンを渡していく(承継)」という意思(意思つながりを遺す)を強く持つべきであるという。 「習慣が人生を好転させる」「生き様がフィロソフィーとなるので修養を積む」といった人生観を持つ京谷氏ならではの経験則である。