国内の物流会社で営業利益率5%以上を維持している企業数は約14%しかない。そのような高収益企業に共通しているのは「顧客価値に向き合ったビジネスモデルの構築」、「DXの推進」、「人財採用と育成への投資強化」、「ブランディング投資」を行っている。
それらを踏まえ、本研究会では各地方の優秀企業の事例から自社が次代も選ばれる物流会社となるためのヒントを探る。
第7期物流経営研究会第1回のゲストとして、姫路合同貨物自動車代表取締役社長の藤田様、常務取締役の林様にお越しいただいた。
同社は直近期では売上高約150億、営業利益率9.4%を実現しており、高収益の秘訣をご講演いただいた。
開催日時:2022年10月28日(兵庫開催)
代表取締役社長 藤田 弘一 氏
はじめに
姫路合同貨物自動車は、普通貨物自動車運送事業免許を受け、昭和14年4月1日に前身である大同貨物自動車を設立。昭和19年2月1日、姫路自動車運送・神崎運送・印南貨物運送・神崎貨物自動車の計4社と合併をし、同年7月7日に神姫合同自動車 (現:神姫バス) の運営する貨物自動車運送事業用設備の現物出資を受け、継承。同年7月29日に、現在の『姫路合同貨物自動車(株)』へと商号を変更した。
倉庫事業、3PL事業、リユース・リサイクル事業、産業廃棄物・処分事業、特別積合せ事業、貸切(区域)事業、宅配事業、ロジネット事業、高所作業車レンタル事業を手掛け、姫路合同貨物自動車含め計8社でグループ経営を展開している。
総敷地面積5万坪の大きさを誇る北播物流倉庫
まなびのポイント1:高収益ビジネスモデルの取り組み
同社が高収益モデルを確立したポイントは、「経営・マネジメント」と「事業」の2つの視点にある。1つ目の「経営・マネジメント」としては、「既存荷主への運賃・燃料サーチャージに関する交渉」「経費へのコストダウン」「荷主別の利益率の把握」が挙げられる。事業を存続させるため、既存の荷主に対して取り引き条件を変更してもらうよう交渉し、徹底的に経費削減と利益率の把握を行い、マネジメント体制を強化した。
2つ目の「事業」としては「倉庫保管の強化」「社外庸車比率の向上」「取り扱い業務のさらなる拡大」が挙げられる。時代とともに変わりゆく顧客のニーズに合わせ、自社の事業を柔軟に変化させてきた。
まなびのポイント2:人材育成やDXで魅力ある職場づくりを推進
優秀な人が辞める5大要因は①上司が部下の扱い方が悪い、②同じ仕事ばかりで面白くない、③頑張っても報われない、④教えてくれない、そして⑤仕事上の人間トラブルが多い、である。同社ではこれらに対策を講じ、センター長を中心としたマネジメント体制を強化することで人材育成と確保に成功している。
また、少人数でこなせる物流の仕組みを構築し、「魅力ある業種」となるよう改善や転換、DX戦略(倉庫の自動化及び無人化、配車運行管理、安全管理、車両管理、労務管理、勤怠管理、請求管理)などを推進している。
まなびのポイント3:小野物流センターを拡張し、倉庫事業のさらなる強化を図る
同社では兵庫県内を中心に、総合物流センターを運営している。商品保管・荷役・流通加工・輸配送業務の領域を物流サービスとして提供。
倉庫管理は独自の管理システムで行っており、現在、危険物倉庫4棟を含む12棟が稼働中(延床 約2万1500坪)だ。さらに、2023年春には一般物倉庫2000坪の平屋倉庫が竣工予定である。
顧客の使い勝手の良さを重視し採用している平屋倉庫は、グループ会社である「ヒメゴー建設」が倉庫建築を行っており、低価格での建設を可能としている。