ライフスタイルビジネス研究会第3期は「CX(顧客体験価値を追求し、真のライフスタイルカンパニーへ進化しよう」をコンセプトとして掲げている。タナベコンサルティングの基調講義ではライフスタイルビジネスの潮流を説明した。また、CX(顧客体験価値)を追求する3社のゲストを講師にお招きし、CXに対する理解と重要性についてお話いただいた。
視察会場としてボーネルンドの“室内あそび場”「キドキド」を訪れ、参加者は身をもってCXを体験することができた。
Executive PR Specialist 日本サブスクリプションビジネス振興 事務局長
吉澤 哉 氏
はじめに
テモナ株式会社は、パーパスに「サブスクで世の中を豊かに」を掲げる2008年設立のプライム上業企業だ。同社は上場企業から中小企業まで幅広いターゲットを対象に、サブスクリプションビジネスを支援するさまざまなソリューションを展開している。多くの企業のサブスクを支援してきた同社の吉澤氏からサブスクリプションビジネスの概要説明や他社事例を元に、サブスクリプションビジネスの成立ちや代表的なサービスを分かりやすく解説いただいた。
参加者は、顧客体験価値という視点からサブスクリプションビジネスをひも解き、顧客体験価値の重要性への理解を深め、自社の戦略へと落とし込みを図った。
まなびのポイント 1:サブスクリプションビジネスは「ONB(オンブ)」で考える
顧客にとって価値を最大化するために不可欠な要素は下記の3つである。
O:お得であること N:悩み解決であること(特別感があること) B:便利であること
これらが不足しているサブスクは成功しないという。例えば、「○○放題」というサービスをサブスクとした外食会社があった。お得感という視点では良いが、悩み解決の視点と便利という視点が欠如していたため、当初想定していたターゲットと来店顧客が異なり、客単価の低い顧客が増加。店舗全体の客単価減少とオペレーションが増加するという結果となり失敗した。ONBについて、タナベコンサルティングとしては特にN(悩み解決)B(便利)の2点は新たなビジネスを検討する際に重要なポイントであると考えている。
サブスクの基本から成功事例から失敗事例をふんだんに盛り込まれた講義であり、「サブスクの基礎を学び、自社で実践したい」と参加者からも高い満足を得ている。
まなびのポイント 2:低収益構造からの脱却が期待できるサブスクリプションビジネス
サブスクの事業を始める最大のメリットは収益構造の変革にある。サブスクは顧客に商品・サービスの良さを伝えやすく(売ってからがスタート)、顧客接点を持ち続けられる。
また、物販と違い、期待値をコントロールできる。従って、ビジネスはストック型となり、継続的な収益が見込める上、計画的な投資が可能となる。対消費者ビジネスにおける企業が抱える収益性の改善につながり「顧客・社員・投資家・企業」の4者にメリットがあると言える。
【図表】サブスクリプションビジネスの要諦
出所:ライフスタイルビジネス研究会
株式会社テモナ様のご講演内容をもとにタナベ経営にて作成
まなびのポイント 3:サブスクリプションビジネスを導入する上での3つのポイント
サブスクリプションモデルに取り組む上でのポイントh3つある。1つ目は、5つのモデルパターンの検討だ(【図表】)。検討する際、自社の提供価値(商品・サービス)に応じて選択することが望ましい。2つ目は先述した通り「ONB」で考える事であり、3つの要素を満たすように設計する。3つ目は5つのTips(ヒント)。①初期段階からシステム投資をして作り込むのではなく、アナログでテストを行うこと。②価格設定は安いことが良いのではなく、むしろ高く設定し、提供価値を高める事が重要である。③ミニマムローンチである。上記①により、継続判断をした上で、一気に加速化させることが必要だ。④市場のスピードが早いため、常に競合製品の動向をモニタリングし、良いものは徹底的にパクる。⑤パートナーとの相互創客スキームを作り、自社だけではなく新たな顧客開拓や、提供価値の競争力を高める事が必要である。