危機を乗り超えて復活したドムドムフードサービスのマーケティング戦略:ドムドムフードサービス
当研究会は、「自社のファンを創造・育成するためのコミュニケーション設計を最先端事例から学ぶ」という趣旨のもと、ゲスト講師をお招きし、LTV向上の成功ポイントについて事例を交えながら紹介している。
第3回では、ゲスト企業である株式会社フリークアウト様より、デジタルマーケティングの効果を最大化させる広告配信手法について、株式会ドムドムフードサービス様より、日本最古のハンバーガーチェーンの底力に期待が集まる理由についてご紹介いただいた。
開催日時:2023年02月10日(東京開催)
代表取締役社長 藤﨑 忍 氏
はじめに
ドムドムフードサービスは、「美味しい商品を価値あるサービスでスピーディーに提供する」をモットーに、ドムドムハンバーガーなどの外食チェーンを展開する日本で最初のハンバーガーチェーンである。
同社は、1990年代に全国400店まで拡大したものの、閉店が相次ぎ一時は27店舗まで減少し、ブランドの存続が危ぶまれていた。しかし、2020年度から黒字経営を果たしている。 この復活劇の立役者として業界から注目されているのが、同社の代表取締役社長である藤﨑忍氏だ。
今回は、驚異のV字回復を遂げた同社の取り組みと、日本最古のハンバーガーチェーンの底力に期待が集まる理由について藤﨑氏よりお話を伺った。
まなびのポイント 1:信頼関係を構築するために社内風土を改革
商品開発から、店長、スーパーバイザーを歴任した藤﨑氏は、業績不振による社内の閉塞感を打破する必要があると痛感し、調和を持った関係性「和をもって事を運ぶ」を信条に、従業員との信頼関係構築に取り組んだ。
現場での交流はもちろん、各店舗への巡回を週に4、5回実施。その時に会えなかったクルーには手紙を残すなど、スタッフとの親密なコミュニケーションに注力した。
まなびのポイント 2:独自性を模索しコアコンセプトを確立
同社は、二極化(低・高価格帯)するハンバーガーチェーン業界を分析し、独自性のある施策を推進した。
他社とのコラボイベントでは、藤﨑氏が自ら現場に立って実行。独自性の高いメニューを提供した。また、他業種とのコラボでは、ファッションブランドの「BEAMS」や「FRAPBOIS」とコラボ商品を開発し、これまで関わりのなかった消費者との接点を創出した。
また、「おいしいはお客様との最低限のお約束。その上をいくものを作る」をメニュー開発の信条とし、独自商品を開発。SNSにおいて、若年層の認知向上につながった。独自性の模索をきっかけに、消費者との関係をつくり、ドムドムバーガーのコアコンセプトを固めたのだ。
他業種とのコラボはこれまで接点のなかった消費者との新しい関係性を創出した
まなびのポイント 3:SNSのフォロワーは「大事な顧客の1人」
店舗数が少ない同社にとって、SNSのフォロワーは「大事な顧客の1人」である。SNS上でのユーザーのリアルな声としっかり向き合い、ブランド構築、営業施策に反映している。
また、ユーザーに愛され続けるための独自性あるコラボイベントと店舗戦略にも注力する。出店やグッズ販売を通じて、新しい消費者との関係性を確立していきながらも、決して店舗数の増加だけを追い続けない店舗出店戦略を推進。消費者にとってオンリーワンであるための「想いのある店舗の創造」を目指している。
「丸ごと!!カニバーガー」(左)、「油淋鶏ーズ(ユーリンチーズ)バーガー」(右)。ファーストフードの常識に捉われない話題性を呼ぶ新メニューを開発