その他 2022.12.02

データ化で顕在化した課題を改善につなげる「現場力」

株式会社パトライト
 

 
 

回転灯やパトカーの散光式警光灯の自社開発で成長軌道を描き、3色信号灯では世界トップシェアを誇るパトライト。同社の「データ化で顕在化した課題を改善につなげる現場力」に迫る。

 
 
現場改善につながるインフラ構築から始める
 

モーターメーカーとして創業したパトライトは、世界中の人に「安心・安全・楽楽」を届けるという企業理念のもと、現在の主力製品である「パトライト3色信号灯」とIoTツールの「AirGRID®」の連動により、幅広い産業分野で生産性向上につながる「見える化」をサポートしている。

 

データが多すぎて相関が複雑になり分析・活用ができない、または、データ収集が目的になっているという悩みを持つ企業に対し、パトライト営業本部営業推進課の課長代理・吉原久雄氏は、「今ある設備をベースにIoTをうまく活用し、改善につながるインフラを構築することが重要」と語る。

 

パトライト 営業本部 営業推進課 課長代理 吉原 久雄氏

 

同社では、データ化することで顕在化した課題を改善につなげる「現場力」を重視している。ポイントは、「現場を良く知る人材の配置」と「小さく始めること」だ。IoTを活用する仕組みづくりで鍵となる人材が、生産技術部や情報システム部など他部門の人とコミュニケーションが取れること。また、小さな成果をすぐに見える化し、成功体験を積み重ねることが、次なるアクションへの原動力になる。

 
 
見える化から「魅せる化」へ、工場全体で顧客の信頼・信用を高めていく
 

同社の取り組み事例を1つ紹介する。AirGRID®を導入した三田工場(兵庫県三田市)では、1日の稼働・停止状況など業務の流れや滞りの変化を時間軸で一覧にする「ガントチャート」を作成。3色信号灯の稼働情報をデータ化し、課題の気付き、分析、改善につなげている。

 

中でも特長的な取り組みが、2018年に本格的に始動した工場の業務改善プロジェクトである。3色信号灯のシグナルとAirGRID®によるワイヤレスデータ通信システムを、自動生産機器ではなく、セル生産の組立作業に導入し、1カ月で非稼働時間を7.3%(160分)削減することに成功。3色信号灯を22本生産できる時間が生まれた。現場の動きを数字で表し、改善アクションにつなげたのである。

 

加えて、現場の見える化の先行事例として同工場に視察に訪れる見学者の存在が、「さらに改善して良くしよう!」と現場の意識を一変させた。製品だけでなく、人やものづくりの仕組み、工場全体で顧客を魅了し、信頼・信用を高めていく。そんな「魅せる化工場」へと、現在進行形で磨きをかけている。

 

「魅せる化」の工場見学を実施する三田工場

 

これらの現場改善は、経営面から見ても貢献度が高い。生産性が向上すると残業が減り、人件費が軽減されて利益に直結する。また、設備・人材の将来ビジョンや経営判断に役立てることができる。

 

現場改善に向けた課題は、現場の工程や環境によって異なる。まずは、自社の現状をデータで知ることが重要だ。次に、全体を俯瞰できる仕組みを構築する。ビッグデータとシンプルなデータ、それぞれの特性を目的に合わせてうまく使い分けることで、スピード感あるDX推進が実現できるだろう。

 

 

PROFILE

    • 会社名:株式会社パトライト
    • URL:https://www.patlite.co.jp/
    • 所在地:大阪府大阪市中央区久太郎町4-1-3 大阪御堂筋ビル
    • 設立:1947年
    • 従業員数:1022名(連結、2020年4月現在)

※ 掲載内容は2020年12月当時のものです。