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コンサルティングメソッド
コンサルティング メソッド
タナベコンサルティンググループの各分野のプロフェッショナル・コンサルタントが、経営戦略・事業戦略・組織戦略などの経営メソッドを解説・提言します。
コンサルティングメソッド 2022.03.01

ブランドプロモーション×コミュニケーション×DX:庄田 順一

ブランド価値発信における3つの課題

コンサルティングメソッド1の通り、ブランドプロモーションとは、「ブランド価値を磨き、発信して売り上げにつなげる、現場寄りのマーケティング戦略」のことである。具体的には、ブランド認知度の向上により、見込み客の獲得と競合他社との差別化を図るとともに、顧客満足度向上を通じてロイヤルカスタマーを育成する、といったことである。

 

すなわち、自社のブランド価値や強み、魅力などといった「本質的価値」を、自社の課題を解決するためのターゲットユーザーである「真の顧客」へ、プロモーションとコミュニケーションを駆使して「届け続ける」こと。市場での競争優位性を確保するブランドプロモーションは、この掛け合わせがポイントとなる。

 

一方、企業はブランド価値の発信において、大きく次の3つの課題に直面している。

 

1つ目が、コロナショックによる人々の価値観の変化である。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降、社会全体の判断基準や嗜好、行動が大きく変化した。そのために顧客の意識動線・行動動線を捉えることが容易ではなくなっている。

 

2つ目が、人口減少と少子高齢化による内需の縮小だ。既存のビジネスモデルの延長線上のままでは競争力が低下する一方である。

 

そして3つ目が、コモディティー化(商品価値の陳腐化)の加速だ。生産技術の向上などにより商品価値の同質化が進み、消費者にとって商品選択基準が市場価格や数量に絞られてしまう。よって商品の付加価値が相対的に低下し、安物化していく。

 

これら3つの課題に加えて、環境変化のスピードが速く、市場環境もいっそう厳しさを増している。そうした中、企業が持つブランド価値の向上が、顧客との長期的な信頼関係の構築につながるとして、ブランドプロモーションの手法に注目が集まっている。

 

企業が生き残るための「ブランド価値」。そのブランド価値を高める鍵となるのが、「専門」「人材」「社会」という3つの視点で企業価値を捉えることである(【図表1】)。これらによりブランド価値をしっかりと整理し、固有のものとしていく。

 

【図表1】非価格競争戦略を実現する3つのブランド価値

出所:タナベ経営作成

 

ブランドプロモーション成功の4つのポイント

 

ブランド価値は一貫性を持って構築し、全体のイメージを統一していくことで固まっていく。そのポイントは次の4点である。

 

❶ブランドコンセプトの構築

 

ブランドの根幹をなす要素を確立する。目指す世界観や価値観の表現を、独自性・必然性・普遍性という3つの視点で設計していく。

 

❷ブランドターゲットの設定

 

一般的には「ペルソナ」(架空の典型的ユーザー像)と呼ばれているものである。ブランドの象徴となる顧客の属性・プロフィール・行動特性などを細かく設定していく。個人だけでなく、法人においても設計することが肝要である。

 

❸ブランドベネフィットの明確化

 

ブランドが与えるベネフィット(本質的価値)を、機能的・感覚的・体験的な要素を組み合わせて設計する。

 

❹ブランドリソースの棚卸し

 

ブランドに関わる自社の資源を棚卸しして整理し、イメージに統一感を持たせる。これらを順序立てて行い、顧客視点から自社の本質的価値、ブランド価値を明確にする。

 

自社の本質的価値、ブランドイメージが固まったら、ブランドプロモーション(顧客とのコミュニケーション戦略)の設計を行う。その場合、いきなり実施するのではなく、目的やターゲットに合わせてブランドプロモーションを設計してから実行に移ることが大切である。

 

 

 

PROFILE
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庄田 順一
Jun-ichi Shoda
2005年タナベ経営入社。2021年より、執行役員マーケティングコンサルティング本部ブランドプロモーション本部長兼“刺さる”プロモーション研究会リーダー。販促戦略パートナーとして、顧客創造に向けた“WEBとリアルを融合した集客プロモーション”コンサルティングにより売り上げ拡大を支援。マーケティングの戦略策定から、実行·運営までトータルでサポート。特にプロモーション企画とその推進マネジメントを通じた人材育成で、クライアントから高い信頼を得ている。