その他 2021.09.13

Vol.05 ビジョン浸透のための全社戦略②

ビジョン浸透のための全社戦略②

 

 

インナーブランディング活動を通じ、理念やビジョンと向き合う

 

「顧客から選ばれ続ける会社」として持続的成長を目指すためには、まず全社員に「何ができる会社かを理解してもらうこと」が重要です。そして、それをインナーブランディング活動として仕組み化し、発信し続ける必要があります。

 

そのメソッドとして「VM-ABC」(VM=ビジョン・マネジメント)があります。VM-ABCは、大きく3つのメソッド(方法)から構成されます。

 

「VM-A」(ビジョン・マネジメント・アクティブ)では、ビジョン実現の要となる戦略KPIを毎月全社へ配信し、全社員で共有します。また、毎月の会議で戦略KPI実現の討議の場を持つことで、ビジョンに対する進捗を共有します。

 

「VM-B」(ビジョン・マネジメント・ブック)は、ビジョン推進の基本書。全社員が必携し、「向かうべき未来」を常に共有します。

 

「VM-C」(ビジョン・マネジメント・コミュニケーション)は、「自社は何ができる会社か」を部署の壁を越えて理解してもらうためのツールです。

 

特に事業が複数存在する場合、他事業のことをよく知らなかったり、社員規模が大きくなると自社の強みや特徴が共有できていなかったりする場合があります。そこで“見える化”することで、全社員が顧客に向かうチームにしていきます。

 

 

ビジョン推進のための3つのメソッド

 

 

 

チームビルディングの必要性

 

部門を超えたプロジェクトやチーム活動、マトリクス型組織など、組織デザインや運営の高度化が進んでいます。そうした中で、いかにミッションを推進し、成果を発揮できるかが求められます。

 

全員が同じ一つのゴールを目指し、複数のメンバーが個々の能力を最大限に発揮しつつ一丸となって進んでいくための効果的な組織づくりや、チームをまとめる手法を「チームビルディング」といいます。

 

さらに言えば、「全員が主体的に自分らしさ、多様性を発揮しつつ、相互に関わりながら一丸となって共通のゴールを達成しようと創意工夫し、チャレンジすること。また、そうした組織づくりの取り組み全般」がチームビルディングです。企業ミッションを推進する戦略型組織には、チームビルディングの技術が必要不可欠となっています。

 

 

 

「3ボードシステム」で戦略リーダーを育成しよう

 

広い視野とマネジメント知識で新事業を創造し、全体最適で成長発展させる。そうした戦略リーダーの育成が、自社の成長の可否を決めると言っても過言ではありません。

 

戦略リーダーは、OJTや社内の基礎教育だけでは輩出されないのが現実です。全社的視点で未来を創るプラットフォームを継続的なシステムとして組織に組み込むことが望ましいでしょう。

 

タナベ経営では、中堅・中小企業の戦略リーダーを育成する経営システム「3(スリー)ボードシステム」を提唱しています。

 

 

3ボードシステム3ボードシステムによるビジョンマネジメント経営事例

 

 

 

全社横断のチーム活動で活躍の舞台をつくる

 

企業組織は、部門やエリアなど「縦に強い」ものです。縦に強い組織は順境時に力を発揮しますが、変化には意外にもろいところがあります。そこに、横串を刺すことで、いかに「変化への柔軟性」を確保するかがポイントとなります。

 

横串(横軸)としては、スタッフ的な企画部門の組成や、改善活動のようなチームの編成ではなく、新たな「ビジネスモデル」や「顧客価値」の創造など、今までにない価値創造の取り組みをすることが効果的です。

 

前述のチームビルディングに加えて、横串のチーム活動のためのチーム(テーマ)を設定し、それをワンミーティングとして全社展開します。

 

チームメンバーによる未来志向のポジティブな議論は、社風を変え、その施策を実行していくことでメンバーのモチベーション向上にもつながります。

 

経営資源の最適配置と有効活用は、トップの重要な仕事であり、特に最大の経営資源である「人材活躍」の場を複数用意することは極めて重要です。仕事のできない人を排除するネガティブアプローチでなく、一人一人と向き合い、「活躍」の場を用意する技術が必要です。

 

そのためにも、プロジェクト方式やワークチームスタイルなどにより、部門、エリア、役職、職種、雇用形態の壁を越えた新たな舞台を用意できるかどうかが、持続的成長を実現するためのポイントと言えます。