その他 2021.07.29

Vol.01 「社長の仕事」とは何か

 

 

トップにしかできない仕事へ注力する

 

社長には「省事(ささいで煩雑なことを切り捨てる)によって、トップにしかできない仕事へ注力する」ことが求められます。

 

そもそも、社長以外の人でもできる仕事は「社長の仕事」ではありません。次の7点に留意して仕事に取り組むことです。

 

【「社長の仕事」チェックリスト】
□ 部下の仕事をやらない
□ 部下の仕事を侵さず、部下の仕事を助ける(サーバントリーダーシップ)
□ 物的価値より利用価値を中心に考える
□ 会議の出席者に利益を与える。各自が発言できるようにする
□ 精神的な評価とともに物質的な裏付けを与える
□ 後継者を育成する
□ 自分で決断し、責任を取る覚悟を持つ

 

社長が持つ最大の権限は「人事権=人に関する権限」と「決裁権=金銭に関する権限」です。ただし、最大の権限を持つなら、「(権限の)使い方に細心の注意を払う」ことも忘れてはなりません。

 

また、社長は決断から逃れることはできません。時には判断材料がわずかしかないケースもありますが、それでも決断を下す必要があります。

 

決断には社長の強い意志、使命、事業に対する熱意が必要です。さらに、冷静に事実を見ることが正しい決断の鍵を握ります。そのために、「衆知独裁(多くの意見や知恵を集め、最後に社長が決断を下すこと)」が重要となります。

 

決断に際して求められるのが「先見力(先を読む力)」です。
社長の決断によって会社、組織の方向性が決まります。正しい決断を行うための価値判断や環境の整備を心掛ける必要があります。

 

 

事業の成否を決定づける「4C」

 

事業で成功するために大事なファクターは、「4C」です。

 

コンディション(Condition)=外部環境
キャパシティー(Capacity)=社長の経営能力
キャラクター(Character)=社長の性格
キャピタル(Capital)=自己資本

 

企業環境は、順風もあれば逆風もあります。しかし、企業の盛衰を左右するものは外部ではなく、企業内部にあります。それは資本であり、経営能力であり、社長の性格です。

 

経営能力とは、人・物・金・設備・土地・技術・ノウハウなど、持てる経営資源をどのように活用して回転率を高め、付加価値の高い商品を生み出し、腰が低い(分岐点を押さえる)経営をしていくかであり、それが社長の腕の見せどころです。

 

どん底まで耐え抜き、「捨てる」「見直す」「組み合わせる」を繰り返し、試行錯誤しながら業績向上にまい進する。苦しいときほど真剣に見つめ、本質を見抜き、自社の持ち味を生かす。頭を柔軟にして、考え方の軸を動かしてみるーー。新しいものを発見する発想が必要な時代です。

 

 

 

100年先も一番に選ばれる会社へ

 

タナベ経営は「100年先も一番に選ばれる会社」を意味する「FCC(ファーストコールカンパニー)」を提唱しています。その実現に不可欠なのが、「自由闊達に開発する組織」といえるでしょう。

 

そもそも事業経営は「顧客の創造」であり、世の中にその商品を必要とする相手を見つけて、それを満たすことです。飽くなき価値創造への意欲と、社会に奉仕せんとする事業精神が一貫していることが肝要です。

 

他に類を見ない独自の製品・サービスを生み出す事業精神と、それを実現するための研究開発投資への実行力が高収益を生み、その高収益を再び研究投資に回す。この善循環ができている企業は、どのような時代環境でも強いものです。

 

一方、「発明家は会社をつぶす」と言われる通り、社長のアイデアだけではなく、組織やチームで取り組める仕組みや社風をつくることが大切です。

 

100年経営の方程式は「社長<事業<会社」であり、実現には、組織で事業や製品・サービスを生み出せる仕組みが必要なのです。