子どもの保護者の関心事は、入試より”支出”
幼稚園~大学の1人当たり教育費最大約「2578万円」
2018年6月号
このほど「リクルートマーケティングパートナーズ」がまとめた、全国高等学校PTA連合会との合同調査結果によると、高校2年生の保護者が特に重要だと考えている進学情報(複数回答)のうち、最も選択率が高かったのは「進学費用」(55.3%)だった。「現在の入試制度の仕組み」(50.3%)や「将来の職業との関係」(43.8%)を上回ったという。
子どもの進学検討時における保護者の最大の関心事――それは合格させるための入試対策ではなく、合格した後の資金繰り対策である。「教育資金」「住宅資金」「老後資金」が人生の三大資金といわれる中、教育にかかるお金は現在どれくらい必要なのだろうか。
文部科学省が隔年実施している「子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの15年間に要する学習費総額(2016年度)は、全て公立に通った場合が約540万円、全て私立の場合は約1770万円(【図表1】)。公立は14年度から上昇傾向にあるが、私立は横ばいである。公私比率は3.28倍とやや縮小した。
【図表1】幼稚園~高等学校の15年間(3~18歳)の学習費総額推移
出典:文部科学省「子供の学習費調査」
保護者が1年間に支出した子ども1人当たりの学習費(16年度)を学校種別に見ると、幼稚園が公立23.4万円・私立48.2万円、小学校は公立32.2万円・私立152.8万円、中学校が公立47.9万円・私立132.7万円、高校(全日制)は公立45.1万円・私立104万円となっている。(【図表2】)
このうち小・中学校は公私立ともに前回調査(14年度)からほぼ横ばいだが、公立幼稚園は学習塾や習い事などの「学校外活動費」が11.1%増と大きく伸び、支出額全体でも5.3%増加した。一方、私立幼稚園は「学校教育費」(入学金や授業料、各種納付金など)と「学校給食費」、学校外活動費のいずれも減少し、調査開始以来、最も少ない支出額となった。
また、高校は公立が10%増、私立も同4.5%増とそれぞれ増加した。公立の増加要因は、14年度入学者から授業料無償制度が廃止され、所得制限(年収約910万円未満)を設けた「高等学校等就学支援金制度」へ移行したことで、授業料を負担する保護者が増えたためとみられる。私立の増加要因は、学校外活動費が大きく増加(11.7%増)したことによるもの。第1、2学年での支出額の増加が目立ち、大学受験に向けて金額が最も大きくなる第3学年との支出差が縮小傾向にある。