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100年経営対談
100年経営対談
成長戦略を実践している経営者、経営理論を展開している有識者など、各界注目の方々とTCG社長・若松が、「100年経営」をテーマに語りつくす対談シリーズです。
100年経営対談 2016.11.30

イノベーションとコスト・リダクションで継続的成長と高収益体質を実現 カルビー 伊藤 秀二氏

 

6年間で売上高が1000億円伸長、操業度を上げ効率化を推進

 

若松 新商品や新市場を開発する「イノベーション」に加え、「コスト・リダクション」を改革の柱とされています。業績を拝見すると、2009年度から2015年度の6年間で売上高が1000億円拡大しており、加えて総資産経常利益率は毎期10%以上。これらは強い意志がないと達成できない成果です。

 

コスト・リダクションに取り組む上で、変えた点はありますか。

 

伊藤 今まで国内は、「売れた分だけ作る」という発想でした。食品は鮮度が大切ですから、出来たてを届ける意味で、食品メーカーとして正しい方法です。しかし、生産ラインの操業度は65~70%程度。それをフル稼働することで原価を下げ、「たくさん売る」という考え方に変えたことで業績が向上しました。原価を下げてたくさん売れば利益が出る。その利益をお客さまに還元すると、さらに買っていただけます。

 

若松 カルビーはジャガイモなど原材料の生産から行っていますから、歩留まりが重要です。歩留まりは消化率で決まるため、全部消化し切った方が利益は出るわけですね。

 

伊藤 考え方を変えたことで販路も変わりました。以前はディスカウントストアなどとの取引には消極的でしたが、今は「お客さまがそうした店で買いたいなら積極的に売ろう」と考えています。国内の販売先にも開発余地があったわけです。

 

若松 チャネルが広がったのですね。イノベーションのストーリー力と業績への展開力。その両方に長けていると感じます。

 

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タナベ経営 代表取締役社長
若松 孝彦(わかまつ たかひこ)

タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。
関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

 

 

グローバル戦略を推進海外売上比率3割目指す

 

若松 今後も積極的に海外展開を進めていくのでしょうか。

 

伊藤 売上高に占める海外比率は約12%(2016年3月期)ですが、伸び率は高く、2011年3月期(約3%)の約4倍へと拡大しました。今後は30%まで海外比率を高めたいですね。

 

カルビーのユニークな商品を展開する余地は十分にあると思いますが、現地に合ったマーケティングが不可欠。各国の現地スタッフを責任者にしています。

 

若松 食は地域の特徴が顕著に表れる分野の1つですから、海外各地の顧客価値に合わせるためにも分権が必要ですね。

 

伊藤 海外事業においては、特に分権が重要。北米で人気のスナック菓子『ハーベストスナップス』は、現地法人の社長に米国人を起用したことで大ヒットした好例です。当初、日本人がデザインしたパッケージで展開していましたが、ヘルシーフードという限定的なマーケットから出られずにいました。そこで、現地化に伴ってパッケージデザインやマーケティングを任せたところ、人気に火がついたのです。

 

若松 日本企業は商品に自信を持っているだけに、現地化に対する認識が遅れている側面もあります。現地の感覚に合わせるには、それぞれの国・地域に任せる覚悟が必要ですね。

 

伊藤 大事なことは「米国人が選ぶデザイン」であること。当社に限らず、日本の食品メーカーの商品がおいしいのは間違いありませんが、味やデザイン、ネーミングも含めて、極端に言えば「全て現地に合わせる」くらいの覚悟が必要です。その方がお客さまとの接点が大きく広がります。

 

若松 攻守のバランス、その中で挑戦する経営姿勢がカルビーの持続的成長につながっているように感じます。分権によって、各商品の海外も含めた市場を活性化し、企業の総合力をさらに高める「自立・透明・シンプルな経営」の推進を祈念しております。本日はありがとうございました。

 

米国で人気を博すスナック菓子『ハーベストスナップス』

米国で人気を博すスナック菓子『ハーベストスナップス』

 

PROFILE

    • カルビー㈱
    • 所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館22F
    • TEL:03-5220-6222
    • 設立:1949年
    • 資本金:120億800万円
    • 売上高:2461億2900万円(連結、2016年3月期)
    • 従業員数:3728名(連結、2016年3月末現在)
    • 東証1部上場

http://www.calbee.co.jp/