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100年経営対談
100年経営対談
成長戦略を実践している経営者、経営理論を展開している有識者など、各界注目の方々とTCG社長・若松が、「100年経営」をテーマに語りつくす対談シリーズです。
100年経営対談 2018.11.30

「よい医療は、よい経営から」をコンセプトに日本型ヘルスケアビジネスの完成へ挑む 総合メディカル 代表取締役 社長執行役員 坂本賢治氏

社会変化に合わせた医療システムの構築を目指す

 

若松 50期ビジョンとして、「日本型ヘルスケアビジネスの完成」を掲げていらっしゃいます。複数の医療機関を集めて連携させる「医療モールの開発」はその1つの取り組みとして大変注目されています。

 

坂本 世の中が変わる中、医療システムも変わっていかないといけません。例えば、医療分野は医師の専門化が急速に進んでおり、町の中で一軒の診療所が開業する時代ではなくなってきています。全人的に患者を診るためには、複数の医療機関が連携して地域医療に貢献する形がふさわしいのではないかと思います。

 

若松 あらゆる看板を掲げている医師よりも、特定の分野のスペシャリストを選ぶ人が増えていることは確かです。ただ、症状別に専門の医療機関を回るのは大変ですから、患者の立場からしても医療モールはメリットが大きいですね。医療・ヘルスケアは高度の専門化と高度の総合化を具現化するビジネスモデルです。

 

坂本 特に、高齢化が進むにつれて自力で外来に行けない人が増えることは確実です。在宅患者の診察が課題となりますが、1人の医師が24時間365日対応するのには限界があります。チームで在宅患者を診る仕組みが、ますます必要になってくるはずです。その実現のために、現状の課題を解決するには、医療モールの考え方が最適だと考えています。

 

若松 あらゆる医療課題を解決してきた知恵が、医療モールのモデルにつながっています。都市部の高齢化も非常に深刻です。医療は生活上欠かせないインフラですから、早急に全国にステーションをつくっていかないといけません。

 

坂本 医療は社会性につながります。医療が廃れると町も廃れる。逆に医療を継続していくことが地域の活性化につながります。よい医療が、よい社会をつくるのだと考えています。

 

若松 社会の変化や医療制度の変化を機敏に捉えて、常に時代に合ったヘルスケアビジネスを開発されている。パイオニアスピリッツがあり、それゆえにビジネスのオリジナリティーが高いことが強さの背景にあります。ただ、企業が大きくなるとパイオニア精神を引き継ぐのは難しくなるものです。

 

坂本 総合メディカルのビジネスの要は「人財」です。特に、医療に携わるお客さまはそれぞれ社会観、人生観をお持ちです。そういった方と話ができる人財であれば、非常によい関係を築くことができ、新たなビジネスのヒントを得ることができます。そうした人財を育てるために教育を大事にしています。例えば次世代のリーダーを育てる「総創塾」は、タナベ経営に協力をいただきながら、すでに10期目を迎えています。人財育成と新規事業開発を目的に1年間のプログラムで実施していますが、異なる部署の社員と一緒に学び、考える研修を通して大局観が養われていきます。

 

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10期目を迎える「総創塾」。他社の経営者を講師に招いたり、役員へのプレゼンテーションを実施したりと、若手リーダーのユニークな「学びの機会」だ

 

 

社長の使命は社員を生かす環境づくり

 

若松 新規事業開発やM&Aで事業を広げた結果、現在はグループ会社が約30社、社員数は連結で7000名(パート含む)を超える企業へと成長されました。坂本社長がこのたび決断したホールディングス化によって、さらなる成長と社会への貢献が期待されます。坂本社長が考える「社長の仕事」とはどのようなものでしょう。

 

坂本 30期に企業理念を見直した際、社訓の3番目に「社員の豊かな人生を願い、社員とともに成長します。」という条項を入れてもらいました。私自身、この部分に強い思いを持って社長業と向き合ってきました。入社以来35年が過ぎましたが、その経験からも「大事なのは社員がイキイキと仕事に取り組めること」だと痛感しています。もちろん、事業には良い時も悪い時もありますが、「前を向いて夢を持って働いてもらうにはどうすればよいか?」を常に考えていますし、そのような環境づくりこそ、社長が果たすべき一番の使命だと思っています。ホールディングス化に至ったのも、社員にイキイキと働いてもらうためです。社員がイキイキと働くことができれば、結果として会社の成長につながり、株主に対する責任を果たす善循環が生まれます。

 

若松 対談を通して、医療機関が求める商品・サービスを次々と開発できる理由を、より深く理解できました。特に素晴らしいのは、全ての事業に「日本のヘルスケア業界のインフラをつくっていく」という使命感が根付いていること。他社が簡単にはまねできない総合メディカルの強みです。10年先の「日本型ヘルスケアビジネスの完成」に向けて、タナベ経営も支援していきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

総合メディカル㈱ 代表取締役 社長執行役員 坂本 賢治(さかもと けんじ)氏
1983年総合メディカル入社。東日本支社長、常務、専務、副社長などを経て2016年4月に社長就任。座右の銘は「一隅を照らす」。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

 

タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

 

PROFILE

  • 総合メディカルホールディングス㈱
  • 創立:2018年
  • 資本金:100億円
  • 総合メディカル㈱
  • 所在地:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル16階
  • TEL:092-713-7611
  • 創立:1978年
  • 資本金:35億1300万円
  • 売上高:1354億3166万円
  • 従業員数(連結):7049名(正社員4579名、パート2470名、2018年10月1日)
  • 事業内容:医業経営コンサルティング、医療モールの開発・運営、医療機関への医師の紹介、医師の転職・開業支援、医業継承支援、保険調剤、一般薬・介護用品の販売、医療機器などのリース・販売、入院患者向けテレビのレンタル
    https://www.sogo-medical.co.jp/