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【研究リポート】

人的資本研究会

人材を投資により生産性を高められる「資本」として捉え、人的資本と活育サイクル(採用・育成・活躍・定着)の視点で事例研究を進めます。
研究リポート2024.05.27

経営プラットフォーム改革(MXプロジェクト)のご紹介:東洋アルミニウム

【第6回の趣旨】
戦略人事研究会では、「事業と連動した戦略人事を実践する」という企業側の視点と、「自分の活躍を最大化する」という社員側の視点から、現代に不可欠な戦略人事と組織パフォーマンスを追求していく。
第6回は「組織パフォーマンス最大化を実現する戦略人事」をテーマに、先駆的な取り組みをしている2社にご講演いただいた。

開催日時:2023年9月27日(大阪開催)

 

 

 

東洋アルミニウム
常務執行役員 山本 政史 氏

 

 

はじめに

 

東洋アルミニウムは、アルミ箔やアルミペーストで世界トップクラスのシェアを誇るアルミニウム製品メーカーである。同社は2031年に迎える創立100周年に向けて、次世代リーダーが中心となってミッション、ビジョン、バリュー(MVV)を策定。また、権限委譲の推進による組織のフラット化や人事制度改革など、経営プラットフォームの改革を2年間で実現した。さらにOKRマネジメントを導入し、上司と部下の1on1ミーティングを定例化するなど、社員一人一人が自律的にモチベーション高く働ける組織づくりに取り組んできた。

 

 


 

まなびのポイント 1:現状に真正面から向き合い、あるべき姿を描く

 

同社は創業90年超の歴史ある企業である一方、それ故に組織の硬直化が課題となっていた。

 

組織構造は年功序列型で、役員・管理職への不信感が社員の間でくすぶっており、部門間の壁は厚く、新しいことへ挑戦する気風も乏しい。結果として従業員のエンゲージメントは低く高ストレス状態となり、業績も低迷していた。この状況を打開するため、同社は「経営プラットフォーム改革(MXプロジェクト)」 をスタート。まず着手したことは、2年間で実現したい「目指す姿」を描くことであった。プロジェクトの推進者である次世代リーダーが中心となり、新たなミッション、ビジョン、バリューを策定して改革の目指す方向性を定義。このMVVをよりどころとし、メンバー間の対話を重視することで納得感ある改革を実現した。

 

 

 

まなびのポイント 2:「規律」と「自立」を両立させるため、組織構造の抜本的改革に着手

 

硬直化した組織構造に対しては、個人主義からチーム主義へ移行することで抜本的な改革を目指した。それまで同社は組織構造を5階層に分けていたため役職者が多く、同じ役職でもマネジメント比重に偏りがある状況であった。これを4階層に再構成し、チーム単位を大きくした。チームイメージとしては監督が個人にそれぞれ指示を出す「野球チーム型」から、監督が戦略を示して試合中の行動は選手に委ねる「サッカーチーム型」を目指し、自律型要素を発揮しやすい組織構造へと変化を促した。また、それらがよりうまく機能するよう、コミュニケーションシステム改革にも着手。プロセスのデジタル化や情報の見える化に取り組み、対話による共創を生み出す環境を整備した。

 

 

 

 

まなびのポイント 3:会社のあるべき姿を実現するための人事制度へ

 

人事制度は会社をよくするための手段の1つであり、大事なのは制度がうまく運用されて理想を実現することである。このような考えから「継続的に運用ができるシンプルな人事制度」の実現を目指して人事制度改革を実施。等級制度の複線化や評価制度における個人業績評価の廃止、賃金のシングルレート化、社内公募制度やOKRによる目標マネジメントの導入などを行った。現状の延長線上ではなく、在るべき姿からバックキャストで思考し、大胆に制度を変更している。また、これらの実効性を高め続けるために、制度は根幹部分を維持しつつブラッシュアップし続けることを社員にコミットしており、改革に対する本気度や覚悟が伺える。

 

 

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