vol.13 会話のしくじりを、どう防ぐか?
2016年10月号
しくじり発言で失敗した 政治家たち
古今東西、「会話でしくじった人」は想像以上に多いようです。
「貧乏人は麦を食え」で有名な池田勇人元総理は、「中小企業の5人や10人の破産自殺はやむを得ない」で旧通産相をしくじったことでも有名です。
「古すぎる!」とお怒りの方に、もう少し近いところでこちらはいかが? 「女性は子どもを産む機械」——柳沢伯夫元厚労相は、誠実な仕事ぶりで評価の高い政治家でしたが、この「言葉のしくじり」で追われるように姿を消しました。
「知恵を出したところは助けるが、出さないところは助けない」。この「しくじり発言」で震災復興相のポストを棒に振った方もいました。
麻生太郎副総理も「しくじり会話」が少なければ、再び「副」のつかない存在になっていたかもしれません。
「日本ほど安全で治安の良い国はない。ブサイクな人でも美人でも、夜中に平気で歩けるのだから」「(終末医療については)さっさと死ねるようにしないと解決しない」「90(歳)になって老後が心配とか、わけのわからないことを言う人がテレビに出ていた」
「麻生さんのキャラだから」とおおらかに受け止める人もなくはありませんが、「もう一度総理」の夢を阻むのには十分なしくじり発言だと言わざるを得ません。
2016年夏の東京都知事選で、増田寛也候補の応援に駆け付けた石原慎太郎元東京都知事の「小池百合子候補は、大年増で厚化粧」発言。「あの石原さんなら言いそうだ」と苦笑いで済ませた人もいたでしょうが、増田候補にとっては「こんな発言でしくじりたくないなあ」というのが本音だったかもしれません。
「政治家のしくじり発言など他人事だ」と感じたら大間違いです。実はわれわれは日常のなんでもない職場でのやりとりや部下との会話で、意外としくじっているようなのです。